寺院

除夜の鐘「由来・回数・何時から?」除夜の鐘を体験できる寺院もご紹介

「紅白歌合戦」が終盤を迎えたころ、遠くの方から聞こえ出す鐘の音、

そして「ゆく年くる年」が始まると、日本各地の寺院で鐘がつかれる映像が映し出されます。

今回は、日本の年越しの風物詩「除夜の鐘」についてお届けします。

除夜の鐘つきを間近に見学できたり、実際参加できる寺院もご紹介します!

除夜の鐘とは

「除夜の鐘」は、大晦日の夜に寺院にある大きな鐘をつく日本仏教の行事です。

この大きな鐘は、正式名称を「梵鐘(ぼんしょう)」といい、その音には、苦しみや悩みを断ち切る力があると言われています。

除夜の鐘の「鐘」が何かは分かりましたが、除夜の鐘の「除夜」は何なのでしょう?

除夜とは、「大晦日の夜」のことです。

大晦日は、一年の最後の日で「古い年をき去り新年を迎える」という意味から「除日(じょじつ)」ともいいます。

大晦日の夜=除日の夜で「除夜」となります。

除夜の鐘の歴史

除夜の鐘が生まれたのは、仏教発祥のインドではなく、中国と言う説が有力だそうです。

もともと中国では、毎月月末の夜に108回、鐘をついていたのですが、時代とともに大晦日の夜だけになったのだそうです。

鎌倉時代の末に中国から日本の寺院に伝わり、江戸時代には多くの寺院でつかれるようになったそうです。

全国的に広がり、大晦日の風物詩となるのに一役買ったのがラジオで、除夜の鐘がラジオで全国放送されるようになったことが大きかったようです。

除夜の鐘をつく回数が108回なのは何故?

除夜の鐘は108回つかれます。

では、なぜ108回なのかと言うと、いくつか説があります。

「人間の煩悩の数」説

これは一番有力な説となっています。

人間の煩悩(ぼんのう)が108個あると言われていて、この煩悩を払うためという説です。

怒りや苦しみ、欲望などを取り払い、新しい気持ちで新年を迎えるというものです。

鐘をつくたびに、一つずつ煩悩を祓い、新しい気持ちで新年を迎えます。

「1年の季節などを足した数」説

1年はいろいろな分け方をされるのをご存じですか?

まずは、1年を12で分けて「」で数えます。

1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分け、半月毎の季節の変化を示している「二十四節気(にじゅうしせっき)」

突然なんだそれ?になるかもしれませんが、

二十四節気には、「春分(しゅんぶん)」「夏至(げし)」「立秋(りっしゅう)」「冬至(とうじ)」などがあり、季節を表す言葉としてよく用いられ、今でも伝統行事などが行われるため、この日になるとニュースなどでもよく耳にする言葉です。

そして、二十四節気(にじゅうしせっき)をさらに約5日おきに分けて、気象や動植物の変化を知らせるのが「七十二候(しちじゅうにこう)」があります。

これらの1年の数を全て足すと、
「月=12」+「二十四節気=24」+「七十二候=72」=108となることから108回鐘をつくという説です。

「四苦八苦」説

これは、四苦八苦を取り払うために除夜の鐘をつくという説です。

四苦八苦とは

仏教で人間の苦悩の原因をあげたもの。

生・老・病・死の四苦

およびそれに愛別離苦,怨憎会苦(おんぞうえく),求不得苦(ぐふとくく),五蘊盛苦(ごうんじょうく)を合わせたもの。

出典元 株式会社平凡社/百科事典マイペディア

四苦八苦からどうやったら108回が出てくるかと言うと、

四苦(4×9)=36

八苦(8×9)=72

36+72=108となりますね。

除夜の鐘をつく時間

除夜の鐘は、大晦日から元旦にかけての深夜0時を挟んでつかれます。

大晦日のうちに107回までをつき、新しい年になってから最後の1回をつくのが一般的です。

つき終わる時間が0時頃なので、要する時間を逆算して、22時ごろからつき始める寺院が多いようです。

ただし、時間はお寺によって様々、

しかも、一般の希望者のかた全員についてもらう寺院などもあり、つく回数も寺院によって色々です。

見学・除夜の鐘つき体験できる寺院

寺院によっては一般の方も除夜の鐘をつくことができます。

ただし、108回しか鳴らさないので事前予約や先着順での整理券が必要なケースもあれば、希望者全ての方についてもらうため、鐘をつく回数を108回と決めていないところなど、寺院によっていろいろです。

そのため、除夜の鐘がつける寺院かどうか、人数や時間に制限がないか、有料か無料かなど、事前に確認しておきましょう。

知恩院の除夜の鐘

日本で最も有名な除夜の鐘といえるのが、知恩院の除夜の鐘です。

知恩院の梵鐘は、豊臣家滅亡のきっかけとなった「方広寺」と、奈良の大仏で有名な「東大寺」の梵鐘と並び、日本三大梵鐘のひとつに数えられています。

知恩院の詳細はこちら
方広寺の詳細はこちら

高さ3.9m、外形2.7m、重さ26トンの大きな梵鐘を僧侶17人がかりで、打ち鳴らします。

「えーいひとーつ」「そーれ」と響き渡る掛け声は迫力満点!

そして、のけ反りながら、撞木にぶらさがるようにして、体全体の力で鐘を鳴らす姿は圧巻です!

知恩院では、除夜の鐘つきへの一般参加はできませんが、この迫力ある鐘つきを間近でみることはできます。

事前申込制となっていて、申込期間 2022年12月12日(月)正午12:00~

また、2022年12月27日(火) 午後2時00分~は、鐘の試し撞きが行われます。除夜の鐘本番さながらの様子を参拝できますよ!

お申込などの詳細は、必ず以下の知恩院公式ページにてご確認ください。

興福寺の除夜の鐘

興福寺の詳細はこちら

奈良のシンボルタワーとも言える五重塔でも有名な興福寺では、除夜の鐘つき体験が可能です。

12月31日の23時30分から鐘がつかれ始める予定で、23時より先着順で整理券が100枚配布されますので、受け取った方だけが鐘つき体験ができます。興福寺には、南円堂と菩提院大御堂に鐘楼がありますので、整理券をうけとったお堂でのみ体験可能です。

予定している内容が変更される場合がありますので、以下の興福寺公式ページを必ずご確認ください。

高台寺の除夜の鐘

高台寺の詳細はこちら

八坂神社から清水寺あたりは、京都有数の観光名所となっています。

その間の高台にある高台寺もまた、年間通して特別拝観や美しいライトアップで人気の観光スポットです。

そんな高台寺でも、除夜の鐘つき体験ができます。

12月31日当日の22時に先着順で整理券が配られます。

ちなみに、高台寺の勅使門は1月1日~1月7日の間だけ開門され、迎春の設えをされた方丈へお詣りができます。

天皇の使者だけが通ることができる門を一般の方もくぐり、方丈にお詣りができ、特別体験ができますよ!

必ず、以下の高台寺公式ページをご確認の上、お出かけください。

除夜の鐘まとめ

除夜の鐘は
● 大晦日の夜に寺院にある大きな鐘をつく仏教行事
● 鐘を撞く回数は108回、人間の煩悩108個を払うためという説が最も有力
● 大晦日のうちに107回までをつき、新しい年になってから最後の1回をつくのが一般的

コロナ渦で迎える年越しも3度目となり、少しは緩和されてきた感はあるとはいえ、除夜の鐘つきの一般参加などは中止している寺院も多くなっています。

また、今後の状況によっては、開催に変更がでることも考えられますので、公式ページなどで必ず確認しましょう。


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