海に浮かぶ朱塗りの大鳥居。
幻想的な光景がSNSやテレビでもたびたび取り上げられる「厳島神社(いつくしまじんじゃ)」は、広島県・宮島にある世界遺産の神社です。
この神社が他と大きく違うのは、潮の満ち引きによって表情を変えるという点。
満潮時には社殿が海に浮かんでいるように見え、干潮時には大鳥居の足元まで歩いて近づくことができます。
季節によってもその姿は様々で、春の桜や秋の紅葉に彩られる社殿はまさに日本ならではの絶景。
さらに夜にはライトアップも行われ、昼とは違う幻想的な雰囲気を楽しめます。
この記事では、厳島神社の見どころを網羅しつつ、潮のタイミング別の楽しみ方や観光モデルコース、アクセス方法までを一挙にご紹介します。
世界遺産としての魅力と、日本三景「安芸の宮島」を巡る旅のヒントを、ぜひ参考にしてください。
厳島神社とは?歴史と世界遺産登録の背景
厳島神社は、広島県廿日市市・宮島に鎮座する格式高い神社で、海の上に建てられた独特の社殿構造が特徴です。
創建は推古天皇の御代、593年と伝えられており、1400年以上の歴史を誇ります。
御祭神は、以下の三柱の女神です。
- 市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)
- 田心姫命(たごりひめのみこと)
- 湍津姫命(たぎつひめのみこと)
この神々は、天照大御神と素戔嗚尊が高天原で誓約を交わした際に生まれた神々で、海の守り神・国家鎮護の神として信仰されてきました。
この島を治めていた佐伯鞍職(さえきのくらもと)という人物によって創建されました。神の使い「神鴉(ごからす)」の導きによって、現在の地が選ばれたと伝えられています。
潮の干満があるこの場所は、まさに神域にふさわしい「変化する神聖な舞台」として選ばれたのです。
その後、平安時代末期に平清盛が深く崇敬し、1168年には寝殿造の様式を取り入れた壮麗な社殿へと改築されました。
清盛の権勢により皇族や貴族の参詣も増え、都の文化がこの地に流れ込み、厳島神社は神聖なだけでなく芸術・文化の中心地としても発展を遂げたと伝わっています。
鎌倉時代以降も、足利尊氏や義満、大内氏や毛利氏など多くの武将たちからの信仰が絶えることはありませんでした。
そして1996年(平成8年)、ユネスコの世界文化遺産に登録。
現在では「松島」「天橋立」と並び、日本三景のひとつ「安芸の宮島」として、国内外から多くの参拝者・観光客が訪れる名所となっています。
厳島神社の見どころ
厳島神社には、大鳥居だけでなく見逃せない見どころが数多くあります。
ここでは、厳島神社の見どころをご紹介します。
ちなにみ厳島神社と言えば海に浮かぶ見事な朱色の鳥居ですが、なぜ「鳥居は赤なんだろう?」とか「鳥居って何?」と気になったことがある方は、こちらの記事で鳥居に付いて詳しく解説しているので読んでみてください!


まず中心となるのは、国宝に指定されている御本社。
三柱の女神を祀る場所であり、朱塗りの柱や檜皮葺きの屋根が印象的な神聖な空間です。海上に建てられているため、潮の干満とともに姿を変える様子はまさに神域そのものです。


御本社へと続く東回廊・西回廊は、海に囲まれた神社ならではの美しさを体感できる場所。
上の写真では、干潮時のもののため海の底が見えていますが、満潮時には回廊の柱と床板の隙間から下に海水が流れる様子を眺めながら、まるで浮かんでいるような感覚で歩くことができます。


まるで建物全体が海に浮かんでいるようです。


社殿の中央に設けられた高舞台・平舞台では、かつて雅楽や神楽が奉納され、今も行事の際に使われています。
また、海の上に建てられた能舞台は日本で唯一のもので、背景に海が広がる舞台は芸術的にも非常に価値の高い空間です。


境内には、大国神社や天神社などの末社も点在していて、順路に沿って参拝することで神聖な気持ちになれるはずです。
特に大国神社は縁結び・商売繁盛のご利益があるとして知られ、女性や観光客に人気です。
また、参拝の記念としていただける御朱印や、朱塗りの大鳥居があしらわれたお守り・授与品も人気。旅の記念やお土産としても喜ばれます。
年間を通じて様々な神事や祭事も行われていて、とくに春の「桃花祭」や、秋の「管絃祭」は華やかで、伝統文化に触れる絶好の機会です。
潮の満ち引きで変わる絶景体験


厳島神社を訪れるうえで絶対に押さえておきたいのが、潮の満ち引きによって変化する景色です。
満潮時には、朱塗りの大鳥居や社殿がまるで海に浮かんでいるかのような幻想的な姿に。海面に映る朱色の建築美は、まさに「水上の神殿」と呼ぶにふさわしい神秘的な光景です。
そして干潮になると、大鳥居の足元まで歩いて近づくことができます。目の前で見上げる大鳥居の迫力は圧巻。満潮時とはまったく違う体験ができるのも、厳島神社ならではの魅力です。
訪問前には必ず「潮見表」を確認して、どちらの時間帯に行くかを決めておくのがおすすめです。できれば干潮と満潮の時間をどちらも体験できるスケジュールを組めると、より満足度の高い参拝になります。
ちなみに、潮位が100cm以下になると大鳥居の下まで歩いて行くことができ、潮位が250cm以上になると社殿全体が海に浮かんでいるように見えると言われています。
また、満潮のタイミングによっては、ろかい舟で海から大鳥居に近づく体験ができることもあります。
▼「潮見表」を確認
宮島観光協会の公式サイトでは、「〇日の〇時の潮位に最も近い状態の鳥居の写真」を見ることができ、訪問前の参考になります。
また、JR西日本宮島フェリーでは、宮島口から宮島桟橋までを結ぶ通常便とは別に、大鳥居に接近する「大鳥居便」があり、観光客に人気です。
季節ごとのおすすめ風景とイベント
厳島神社は、四季折々でまったく違う表情を見せてくれるのも大きな魅力のひとつです。
どの季節に訪れても、美しい自然と調和した神秘的な風景が広がっています。


**春(3〜4月)**には、桜が厳島神社を彩ります。
特に大願寺周辺や千畳閣からの眺めは絶景で、社殿の朱色と満開の桜が織りなす風景は一見の価値あり。
また、毎年4月に行われる「桃花祭」などの行事も見逃せません。
**夏(7〜8月)**は、海の青と緑あふれる自然が印象的な季節。
日差しに照らされた朱塗りの社殿がより一層鮮やかに見えます。潮風を感じながらの参拝は、夏らしい爽快な時間になります。


**秋(10〜11月)**には紅葉の名所「紅葉谷公園」が見頃を迎え、境内の木々も色づきます。
赤や黄に染まった木々と、朱色の社殿が調和する風景は写真映え抜群。また、平安時代の雅な船遊びを再現した「管絃祭」も秋に行われ、歴史を感じる祭事として人気です。
**冬(12〜2月)**は、観光客が比較的少なく、静けさの中でじっくりと参拝できるシーズンです。
運が良ければ、雪化粧した大鳥居を見ることができ、澄んだ空気の中で一層神秘的な雰囲気が漂います。
さらに季節を問わず楽しめるのが、夜のライトアップ。
日没後には大鳥居や社殿が幻想的に照らされ、昼間とはまったく違う厳島神社の姿を堪能できます。
ライトアップは年中実施されていて、特に島内に宿泊すれば人混みを避けて静かに鑑賞することができます。
※行事やイベントによっては開始時間が変更となる場合があります。
厳島神社観光モデルコース|厳島神社を満喫する柔軟プラン
潮のタイミングが観光の満足度を左右する宮島では、時間割に縛られたモデルコースよりも「潮位に合わせた柔軟な過ごし方」がおすすめです。
◆潮位100cm以下で体験したいこと
→ 大鳥居の足元まで歩いて接近、磯辺散策、記念撮影など
◆潮位250cm以上で体験したいこと
→ 海に浮かぶ厳島神社の絶景、回廊からの眺め、ろかい舟での水上参拝など
◆その両方を1日で体験したいなら…
→ 宮島島内に1泊することで、朝・夕の潮位に余裕をもって合わせられます。
宿泊して時間に余裕があれば、グルメや満潮と干潮時の風景の違いだけではなく、千畳閣からの夕日、夜のライトアップされた大鳥居なども楽しめて、昼間とはまったく違う宮島の魅力にも出会えます。
グルメも気になる方は、こちらの記事で厳島神社とグルメもご紹介しています!
厳島神社の基本情報・アクセス
住所:広島県廿日市市宮島町1-1
拝観時間:開門時間は季節により異なりますが、基本的には朝6時30分頃〜夕方17時〜18時頃まで
拝観料:大人300円※宝物館との共通券や団体割引もあります
公式サイト:https://www.itsukushimajinja.jp/
アクセス:JR宮島口駅から徒歩約5分で宮島口フェリー乗り場へ、JR宮島連絡船または宮島松大汽船で宮島までは約10分、厳島神社へは桟橋から徒歩約15分
※拝観時間・拝観料などは公式サイトで詳細をご確認ください
四季折々の風景や潮の満ち引きによって姿を変える厳島神社は、何度でも訪れたくなる神秘的な場所です。ただ、潮の時間や移動手段、混雑などを考えると「どう回ればベストか悩む…」という方も多いかもしれません。
そんな時に便利なのが、ツアーです。クラブツーリズムのツアーでは、島内に17時間も滞在できるコースや厳島神社から近い宿に宿泊できるコースなども用意されていて、初心者でも安心して参加できます。
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