今回ご紹介する「神泉苑(しんせんえん)」は、京都の人気の観光スポット「二条城」の南にあります。
二条城の側にありながら、あまり聞き馴染みがない印象の神泉苑ですが、美しい池泉回遊式庭園があり、パワースポットでもあるんです。
緑や池、池に泳ぐ鯉、のんびりマイペースに過ごすアヒルなどなど雰囲気を味わえるだけではなく、京都の歴史も感じられれる場所ですよ!
目次
神泉苑(しんせんえん)
神泉苑(しんせんえん)は、世界遺産「二条城」と「御池通」を挟んで隣接していて、境内は池泉回遊式庭園となっています。
一見すると神社のように見えるのですが、弘法大師を本尊とする東寺真言宗の寺院になっています。
その歴史は古く、794年の平安京遷都と同時期に大内裏(だいだいり)の南に造られた禁苑(皇族の庭園)です。小川や森林などを配し、天皇や公家・貴族が遊宴を行ったと言われています。
もともとこのあたりは湿地帯だったので、かつて湖底だった地形をうまく利用しながら禁苑を造ったと考えられています。
その当初は、総面積約13万平方メートルもの広大の敷地だったのだそうです。
周囲、南北500メートル、東西240メートルというの長さだったと聞くと、いかに広大だったのかが分かりますね!
徳川家康が1602年に二条城を造営した際に、神泉苑の敷地の北側の大部分が城内に取り込まれ規模が縮小しました。また、神泉苑の水源である「神泉」も城の外堀の水源の一つとして取り込まれました。
現在の敷地は、当時の十数分の一しか残っていないのですが、平安京最古の史蹟として国の指定を受けています。
神泉苑の見どころ
参拝はもちろん、境内は気軽にお散歩できる自然豊かな池泉回遊式庭園がある神泉苑には、源義経と静御前が出会った地という伝承も残っていて、神泉苑祭を含む毎年5/1~4日の間は、境内の狂言堂で大念仏狂言が催されます。
他にも多くの見どころがあるので、ご紹介していきましょう。
パワースポット|龍神が棲む伝説の池
神泉苑は、パワースポットとして知られています。
それは、神泉苑の池に平安時代から龍神が棲む伝説があるためです。
龍神「善女龍王(ぜんにょりゅうおう)」は、雨を降らすとして伝わる神様です。
かつて、弘法大師 (空海)が、善女龍王様をインドの池から呼び寄せて、三日間にわたって大雨を降らせたと伝わっています。
それ以来、龍神様は神泉苑の池に棲み付いたため、どんなに日照りの日が続いても神泉苑の池は枯れることはないのだそうです。
苑内には,空海が雨乞いの際に勧請した善女龍王をまつるほこらがあります。
毎年5月初めの神泉苑祭には、神の依代(よりしろ)として鉾が立てられます。
願いが叶う|法城橋(ほうじょうばし)
神泉苑の中でも最もご利益のがあると人気のスポットなのが、この「法成橋(ほうじょうばし)」です。
善女龍王社と本堂の間に架かる橋で、この橋の上で一つだけ願い事を念じながら善女龍王にお参りすると、願いが叶うと言われています。
朱色の橋は、緑の中で目を引く鮮やかさで、橋の上で写真を撮っている方も多かったです!
癒しのアイドル|アヒルがいる境内
神泉苑には、アヒルがいます。
この日は、善女龍王社の前にいました。
神泉苑といったら「アヒル」というほど、欠かせない存在になっています。
アヒルたちはマイペースに動き回り、境内のいろんな場所に移動します。
参拝者は驚きながらも、にこやかにアヒルを見守っていました。
京都を代表する祭|祇園祭発祥の地
京都を代表するお祭と言えば、祇園祭です。
特別な祭とも言える祇園祭は、現在「八坂神社」の祭礼として行われているのですが、実はその起源はここ神泉苑にあります。
平安時代863年、朝廷は、この地で都に蔓延する疫病の退散を祈る「祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)」を行いました。
これが祇園祭の起源といわれています。
平安時代当時は、非業の死を遂げた人は死してなお怨念を持ち続け、やがて怨霊となり、自然災害を起こしたり疫病を流行したりさせて祟るようになると考えられていました。
そこで「御霊信仰」が流行しました。
非業の死を遂げた人の「怨念(悪霊)」を倒すのではなく、「御霊」として神や守護霊のように祀ることでその魂を鎮めようというもので、その鎮魂の儀式が「御霊会」でした。
御霊会を行って、疫病や災害などの厄災から逃れようと言うわけです。
そして、神泉苑で行われた祇園御霊会は、記録に残っている日本で最初の御霊会なのです。
祇園御霊会の数年後、神泉苑では当時の国の数に準じた66本の鉾を立て、それに悪霊を集めて祓ったと伝わっています。
それが現在の祇園祭の山鉾に繋がっています。
御霊会は、元は朝廷の命で行われてましたが、時がたつにつれ民間の信仰心も注がれるようになり、時代とともに規模が大きくなり、室町時代になると山鉾が登場し、町衆の祭として賑わうようになっていったのだそうです。
祇園祭は、日本三大祭りの一つにも数えられる「お祭り」ですが、元々は「疫病を祓う」ために行われていた儀式だったんですね。
恵方に合わせて社の向きが変えられる⁉|恵方社
上の写真の石橋を渡った右に小さなお社があります。
それが「恵方社」、日本で唯一ここだけという恵方を司る歳徳神がお祀りされています。
このお社の最大の特徴が、毎年社殿が動かされるということです
大晦日の夜22時半から神事・法要が行われ、その後、新年の恵方に合わせて社の向きが変えられます。
そのため、いつでもその年の恵方に向かって参拝ができます。
この恵方には歳徳神(としとくじん)という神さまがいて、吉の方角にお参りすると願いが叶うと言われています。
神泉苑境内の様子
全体的な構成は、
中島のある大池があり、
その大池を中心に正殿乾臨閣(けんりんかく)、左右に楼閣や釣殿、滝殿などが配置されています。
敷地北東から小川がそそぎ、外周には柳が植えられています。
境内の南中央にある大鳥居です。
江戸時代から明治末までは、この場所に「山門(薬医門)」が建っていたそうです。
大鳥居をくぐって、石橋の向こう見えるのが、善女龍王社です。
参拝した日は、アヒルたちは、この橋を渡った先のベンチの下にいました。
石橋を渡り、神泉苑の中央の島に 祀られているのが「善女龍王社」です。
善女龍王社の左手には、法成就池を渡る法成橋がかかっています。
上は、法成橋の上から撮った写真です。
拝殿から奥に向かって、中門、拝所、本殿という社殿で構成されています。
善女龍王社は、天明の大火(1788年)により焼失、その後1813年に再建されたという棟札が見付かっています。
法成橋を渡ると、本堂です。
お堂は、東寺境内にあった太元帥堂を、 神泉苑に移築したものだそうです。
本堂前あたりには、鯉塚と亀塚が並んでたっています。
池を泳ぐ鯉亀に限らず、あらゆる生き物への感謝と供養のため建立された塚なのだそうです。
弁天堂です。
弁財天は、法成就池のほとりに祀られ 財宝を授けてくださると言われています。
弁天堂の屋根瓦には、弁天様の眷属神として「鯰(なまず)」が彫られています。
正面の頂上部には、池の水流を泳ぐナマズ瓦になっていて、下り棟の先の四隅には、小さなナマズの瓦もあります。
なんともかわいい鯰(なまず)なので、お見逃しのないように!
法成就池の東側、池畔に鎮守稲荷社「矢劔大明神(やつるぎだいみょうじん)」があります。
手に持った矢と剣で、参詣の人々を守護される神様と言われています。
神泉苑の稲荷社は、江戸後期からあることが古文書によって判明しています。
【神泉苑】アクセス基本情報
【神泉苑】基本情報
住所:京都府京都市中京区門前町166
電話:075-821-1466
拝観時間:8:00~20:00
HP:http://www.shinsenen.org/
アクセス:京都市営地下鉄東西線「二条城前」駅下車、徒歩約3分
JR嵯峨野山陰線「二条」駅下車、徒歩約10分
阪急電車京都線「四条大宮」駅より徒歩約10分
二条城は、ライトアップやプロジェクションマッピングなど、念を通して色々な催しもあり、国内外の観光客が訪れる人気のスポットですが、周辺の観光地に足を運ぶ人はあまりいません。
せっかくここまで来たなら、歩いて5分ほどの「神泉苑」にぜひ寄ってみてください!
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