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世界遺産|仁和寺“江戸時代から愛される桜や国宝”見どころ紹介

京都市右京区にある仁和寺は、世界遺産に登録されていて桜で有名な寺院です。

京都でも人気の観光スポットとなっていて、広い境内はいつも多くの参拝者で賑わっています。

今回は、仁和寺の歴史やみどころ、アクセスなどをご紹介します。

仁和寺(にんなじ)

仁和寺は、仁和4年(888)に創建された寺院であり、現在は真言宗御室派の総本山です。

仁和寺は、仁和2年(886年)に第58代光孝天皇によって「西山御願寺」と称する一寺の建立を発願されたことが始まりです。

発願された翌年に、光孝天皇は志半ばにして崩御され、第59代宇多天皇がその遺志を継ぎ、仁和4年(888年)に完成しました。

この時に、寺号も元号から「仁和寺」となりました。

その当時の年号「仁和」から、「仁和寺」の名がついたといわれています。

寛平9年(897年)に譲位した宇多天皇は、後に出家して仁和寺の第1世 宇多(寛平)法皇となりました。

寺内に「御室」という僧坊を立てて移住したことから、「御室御所」とよばれました。

これ以降、仁和寺の代々住職(門跡)を皇室出身者が務め、平安時代から鎌倉時代は門跡寺院として最高の格式を保っていたそうです。

しかし、仁和寺は、応仁の乱でほとんどを兵火で焼失していましました。

ほとんどを焼失してしまう状況の中、ご本尊の阿弥陀三尊をはじめ什物や聖教などは、「真光院」に移され伝えられていきました。

「仁和寺御伝」に伝わるとことによると、寛永11年(1634年)、仁和寺第21世 覚深法親王が徳川幕府3代将軍家光に仁和寺再興を申し入れ、承諾され、ようやく再興されることとなりました。

慶長時代の御所建て替えもあり、御所から「紫宸殿(現 金堂)」、「清涼殿(御影堂)」などの建造物が下賜され、正保3年(1646年)に伽藍の再建が完了し、創建時の姿を取り戻すことが出来ました。

1994年にはユネスコ世界文化遺産に登録されています。

桜の名所として人気の仁和寺「御室桜(おむろざくら)」

仁和寺は、桜の名所としても人気のスポットで、境内には、御室桜、染井吉野やしだれ桜を合わせ約550本の桜があるのだそうです。

勅使門の前や、先ほど紹介した金堂の前など、境内の至る所で桜を楽しむことができます。

その中でも、中門内の西側で咲くのが「御室桜(おむろざくら)」は特に人気です。

御室桜の見頃は4月中旬で、満開の時期だけでなく、散り始めの姿もとても美しく、目を楽しませてくれます。

御室桜は、遅咲きで背が低いのが特徴です。

数多くの和歌や書物に記されており、戸時代の頃から庶民に親しまれてきた桜です。

数多く桜の名所が存在する京都の中でも、人気の桜名所として多くの人が花見に訪れます。

1924年に「御室桜」は、国の名勝に指定されています。

仁和寺の見どころ

仁和寺の境内に仁王門をくぐって足を踏み入れると、国宝の金堂や重要文化財の御影堂など、雅な建築物が点在し、数多くの見どころが存在します。

白書院・黒書院と御殿回廊でつながれた宸殿の南北には、2つの庭園が広がり、北庭では五重の塔を借景とする素晴らしい風景を楽しむことができます。

ここでは、仁和寺の見どころをご紹介します。

※通常、内部を拝観できるのは御殿のみとなっていますが、金堂・五重塔なども特別公開される期間があり見ごたえタップリですので、ぜひ公開される際には、内部拝観もしてみて下さい!

“京都三大門”のひとつ「仁王門」

仁和寺の正門である「仁王門」は、正面の左右に「阿吽の仁王像」、後面に「唐獅子像」が安置されています。

知恩院の三門と、南禅寺の三門とともに「京都三大門」のひとつに数えられています。

重要文化財に指定されています。

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御殿と名勝庭園

仁王門をくぐってすぐ左手に現れるのが「御殿」です。

御殿は、「宸殿(しんでん)」や、茶室の「飛濤亭(ひとうてい)」など、7つの建造物と、庭園(北庭と南庭)によって構成されています。

御殿内にある仁和寺の庭園は、趣深い景観であることが評価され2021年3月26日に国名勝庭園に指定されています。

※令和4年2月7日(月)から令和5年8月末日までは、仁和寺御所庭園内の「黒書院」全面修理工事を行っています。

仁和寺唯一の国宝「金堂」

仁和寺が保有する唯一の国宝が、「金堂(こんどう)」です。

仁和寺の本尊である阿弥陀三尊が、安置されています。

寛永年間(1624〜1643年)に御所から移築されたもので、現存する最古の「紫宸殿(ししんでん)」です。

堂内には、四天王像なども安置され、壁面には極彩色の観音図などが描かれています。

春には桜、秋には紅葉とのコラボが美しい「五重塔」

徳川家光の寄進によって建てられたと伝わる「五重塔」です。

その高さは約36mで、重要文化財に指定されています。

各層の大きさがほぼ同じで、江戸時代の五重塔の特徴が残っています。

仁和寺の境内で特に高い建造物で、御殿の庭の借景としても楽しむことができ、また春は桜、秋は紅葉との共演も見ものです。

「御影堂」重要文化財

金堂と同じく、寛永年間(1624〜1643年)に御所から移築されたものです。

御所の「清涼殿」だったことから、昭和の屋根の葺き替え工事の際には、垂木などの資材に「せいりやうでん」と書かれた墨書が見つかったそうです。

「観音堂」重要文化財

観音堂は、江戸時代初期の再興から屋根の葺き替えを一度行ったのみでしたが、2012年に解体しての過去最大規模の修繕工事が行われ、2019年に工事完了しています。

ご本尊は千手観音菩薩です。

【仁和寺】アクセス基本情報


【仁和寺】基本情報

住所:〒616-8092 京都府京都市右京区御室大内33
電話:0754611155
拝観時間:3~11月 / 9:00~17:00(受付 16:30まで) 12~2月 / 9:00~16:30(受付16:00まで)
拝観料金:仁和寺御所庭園 大人800円
HP:http://www.ninnaji.jp/
アクセス:嵐電「仁和寺駅」徒歩約3分、市バス「御室仁和寺」徒歩約1分 | JR嵯峨野線「花園駅」 徒歩15分

仁和寺は、京都駅からは電車やバスを乗り継いで、30分から40分程でたどり着けます。

桜の名所である仁和寺は、春になると混雑が予想されるため、ピーク時はもちろん、普段の参拝から公共交通機関の利用がおすすめです。

電車とバスどちらを利用しても最寄駅からは近いため、移動にも便利です。

仁和寺は、一部の施設を除き無料で散策を楽しめ、ぐるっと一周回ると30分以上かかるほどの広さです。

通常内部拝観は御室のみです。


仁和寺は、世界遺産に登録されている金閣寺や竜安寺などがある洛西にあります。

京都観光の際には、まとめて世界遺産めぐりをしてみてはいかがでしょうか?

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