昨日ご紹介した、たまたま標識が目に入り参拝させていただいた
「但馬妙見 日光院」から、さらに妙見山のグネグネ道を進むと現れるのが、名草神社です。
名草神社は、「三重塔」「本殿」「拝殿」の3つの建物が、国指定の重要文化財に指定されています。
今回は、妙見山の中腹に鎮座する名草神社をご紹介します。
名草神社(なぐさじんじゃ)
名草神社は、標高1139mの妙見山の中腹標高800mに鎮座しています。
中世から近世にかけて、但馬地方の妙見信仰の拠点として栄えていました。
五穀豊穣・縁結びの神様としてお祀りされています。
樹齢200年を超える妙見杉に囲まれ、神秘的な雰囲気を漂わせています。
室町時代は社領がかなりの広さだったと言われています。
神仏分離もあり、歴史の詳細非常に分かりにくくなっています。
名草神社 3つの重要文化財
それでは、名草神社の3つの重要文化財を詳しくご紹介していきましょう。
出雲大社にあった三重塔
境内の標高760mのところに三重塔があります。
この三重塔は、明治37年2月18日に国の重要文化財に指定されています。
「名草神社三重塔」や「妙見三重塔」と呼ばれているこの塔の高さは23.9メートル、
三重塔の最も上の屋根までの高さは、16.8メートルです。
屋根は、薄い杉板を重ねて作ったこけら葺です。
三層目の軒下の四隅に、四匹の猿の彫刻が置かれています。
三猿(「見ざる」「聞かざる」「言わざる」)は有名ですが、この四猿のうちの一匹は、「思わざる」だと言われています。
この三重塔は、島根県の出雲大社にあった三重塔で、杵築の塔とも呼ばれていました。
江戸時代の出雲大社の寛文御造営のときに、出雲大社本殿の御用材として、名草神社の鎮座する妙見山から妙見杉を運び、この妙見杉で出雲大社本殿が建て替えられました。
そのお礼として、出雲大社の三重塔が名草神社に譲られました。
出雲大社で解体され三重塔は、
、島根県宇龍港から船で日本海を渡って、但馬の津居山港に着き、その後妙見山に運ばれ建てられたと言います。
名草神社までの道は、車一台分しかない狭い道幅のグネグネと曲がりくねった山道で、現在車で参拝するのも、かなり大変です。
昔の道を港からこの山を運んだ苦労は計り知れません。
秋の境内で、赤く染まったモミジと朱色の三重塔が、とても綺麗でした。
拝殿 割拝殿形式の希少な遺構
拝殿は、本殿とともに「名草神社」として平成22(2010)年に国指定の重要文化財になりました。
拝殿は、石垣の上に立ち、正面は石垣からせり出すように建てられています。
石垣から前方に張り出し、石垣の下から柱で縁床を支えている、懸造という作りになっています。
色鮮やかな目を引く建物ですが、平成24(2012)年の3メートルを超える積雪で、本殿と拝殿の屋根などが破損しています。
その後、解体修復工事が行われ、鮮やかな色合いも復元されました。
この拝殿が、名草神社で最も古い建物です。
正面が5間、側面が2間、中央の1間が、土間で通路になっていています。
本殿に参拝する人が、門のように通ることができる割拝殿形式となっています。
見る角度によって違った印象を与えてくれる、美しく個性的な建物です。
表情豊かな彫刻に出会える本殿
本殿は、境内の最も高い場所、標高800mに鎮座しています。
正面は9間、側面が5間あり、屋根は入母屋造のこけら葺きです。
拝殿とともに「名草神社」として平成22(2010)年に国指定の重要文化財になりました。
そして、拝殿と同じく平成24(2012)年の大雪で破損、解体修復工事が行われ現在の姿となっています。
屋根の正面に千鳥破風(ちどりはふ)と呼ばれる三角形の小屋根があり、
その下には、唐破風(からはふ)と呼ばれる半円形の小屋根があります。
これと同じ形式の屋根が、栃木の日光東照宮や京都の北野天満宮などの大型社殿にも見られます。
また、本殿では多くの表情豊かで豪華な彫刻を見ることができます。
繊細な彫り物で、一つ一つ表情や動きがすごく細やかで、見入ってしまします。
名草神社へのアクセス
住所:兵庫県養父市八鹿町妙見
電話番号:079-662-2793
アクセス:最寄りインター八鹿氷ノ山IC
日光院から車で約30分
※車一台が通れる道幅の狭いグネグネ道が続き、大型車は通行できませんのでご注意ください。
偶然出会った神社でしたが、
見ごたえたっぷりで、良い時間を過ごさせていただくことができました。
一之宮めぐりをされている方は、出石神社の参拝と合わせて参拝してみてはいかがでしょうか?