神戸・元町の中華街から少し離れた静かな場所に、ひときわ色鮮やかな中国式寺院「神戸関帝廟(かんていびょう)」があります。
訪れてみると、日本の神社仏閣とは一味違った異国情緒たっぷりの空間。お線香や金紙を使った独特の参拝方法、さらに中国式のおみくじ体験など、まるで中国を旅しているような不思議な感覚を味わえます。
この記事では、神戸関帝廟とはどんな場所なのか、参拝方法やおみくじの引き方の違い、見どころやアクセス情報まで詳しくご紹介します。
関帝廟とは?関羽を祀る世界的な廟
関帝廟とは、中国・三国志で有名な武将「関羽(かんう)」を祀る寺院です。
忠義に厚く、信頼を集めた関羽は、後に「関聖帝君(かんせいていくん)」として神格化され、武運長久や商売繁盛、交通安全などのご利益があると信仰されています。
中国では、儒教・道教・仏教が融合した「三教合一」の寺院が多く、その一環として関帝廟も存在。祖先や偉人を祀る「廟(びょう)」として、現代でも信仰が続いています。
世界に広がる関帝廟と日本の関帝廟
関帝廟は中国のみならず、台湾・韓国・ベトナム・マレーシアなどアジア各国、さらにアメリカ・カナダなどにも広がっています。
これは、華僑たちが移住先で「商売繁盛」を願って関羽を祀る関帝廟を建ててきたためです。
日本にも各地に関帝廟があり、代表的な場所は以下の通りです:
- 横浜中華街(横浜関帝廟)
- 神戸中華街(神戸関帝廟)
- 函館市、和歌山・那智勝浦、京都・福知山、大阪市、長崎市(崇福寺・興福寺)、沖縄・那覇など
神戸関帝廟はその中でも、観光客が少なく、落ち着いてゆっくりと参拝できる穴場スポットです。
神戸関帝廟の歴史と特徴|日本×中国の建築融合
神戸関帝廟は、明治25年に大阪から神戸へ移された中国寺院「長楽寺」がルーツ。
戦後の空襲で焼失したあと、中国人有志によって関帝廟として再建され、拡張を重ねて現在の姿となりました。
日本建築に中国様式を取り入れた「和洋折衷」の寺院で、外観はまさに極彩色の中国建築。
中でも屋根の上にいる「青龍の飾り」は必見で、宝玉を掴む姿を見ると幸せになるという言い伝えがあります。※後ほど境内の様子を詳しくご紹介します!
中国式の参拝作法|日本とここが違う!
関帝廟は、日本の寺院ではなく中国の寺院です。
中国の参拝は日本とは違いがあります。日本各地のも関帝廟はたくさんありますので、訪れたら是非、中国式のお参り方法で参拝しましょう。
関帝廟:中国式参拝の流れ

1)受付で線香と金紙を購入
※線香は日本よりも太く長いのが特徴で数本が一束になっています
2)順番に香炉へ線香を供える
※香炉は1番「天地神」から8番「喉呀」まで順番がある
3)神前で膝をついて合掌・お辞儀(1~3を参拝するお寺の案内に従って繰り返す)
4)最後に金紙を「金亭(金紙焼却炉)」で燃やし、願いを天に届ける
まず線香に火を点け、煙が立ちのぼるお線香を頭に頂きます。この時に心の中で願い事を唱えます。そして、ご本尊に向いてお辞儀をし、左手でお線香を1本立てます。
香炉は「天地神炉 ~関帝聖君 ~南無観音菩薩 ~天后聖母~福徳正神~指南宮~地蔵王菩薩 ~喉呀」の順でまわります。案内があるので、それに従って線香を備えて行けば大丈夫です。
ちなみに、日本では立ったまま拝みますが、中国では膝を付いて頭を地面につけるぐらいお辞儀をします。そのため中国では、膝を付く台やスペースが賽銭箱の前に設けられていて、そこで膝を付けるようになっています。

最後の金紙を燃やす焼却炉は、本堂手前右側、上の写真の右側にある黄色くて煙突がある「金亭」になります。
中国式のおみくじ体験|“確認作業”が独特!
関帝廟のおみくじは、ただ棒を振って出すだけではありません。「このくじでよろしいですか?」と伺う“確認儀式”が特徴です。
竹くじの入っている筒が置かれているのは日本と同じなのですが、竹くじが出てきてからの流れぶかなり違いがあるので、詳しく解説していきます。
おみくじの引き方
1)竹くじの筒を傾けて、竹くじを1本だけ出す(複数出たら振り直し)
2)1本でたら合掌して「この番号で良いでしょうか?」と仏様に心の中で伺いながら、三日月型の神具「合杯(ごうはい)」を床に落とし、表裏が逆向きになればOK
→同じ向きならやり直し
4)竹くじの番号に対応するおみくじをもらう(所定の料金を入れる)
1)の補足として、竹くじを振り出す時、住所・氏名・生年月日と具体的な願い事を心の中で告げます。竹くじが2本以上出た場合は無効で、1本になるまで降りなおします。
2)のときに合杯の向きが同じ場合その竹くじは違っているため、竹くじを引き直します。合杯が反対向きになったらOKの合図です。
体験してみると、仏様との“対話”のような不思議な感覚を味わえますよ。
かれた寺院によっても違いますし、分からなければ聞くと教えていただけます。
【神戸関帝廟】境内の見どころ|細部に宿る中国文化

神戸関帝廟の境内には、見逃せない装飾や建築がたくさんです。
本堂の屋根の鮮やかな青龍は、北京の紫禁城と同じ皇帝色の瓦の上に飾られています。
宝玉をつかんで、お互いにらみ合っている青龍をみると幸せになるという言い伝えがあるそうです。

極彩色の「三門」は、日本の寺院とはまったく違う色彩

門の天井の鮮やかの絵や彫刻にも目を奪われます。

「四阿(あずまや)」 休憩所です。 庭園を望みながら休憩ができる憩いの場所とされています。日本の東屋(あずまや)とは全く違った雰囲気です!

瓦の装飾にも中国の文化を感じることが出します。
【神戸関帝廟】アクセス基本情報
阪急の花隈駅西口より北へ徒歩10分ほどです。
神戸元町の中華街「南京町」からは、徒歩18分程かかります。
横浜関帝廟や媽祖廟は、横浜中華街のすぐ側に経っていて、賑やかな雰囲気がありますが、神戸関帝廟は、元町の中華街から少し離れた場所にあるため、とても静かで、ゆっくりと参拝することができます。
賑やかな南京町もいいですが、静かな関帝廟で中国の文化を感じてみるのもいいものですよ。
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