お寺や神社、お墓へ行き拝んだりお祈りすることを「おまいり」といいますね。
この「おまいり」を漢字で書くと、「お参り」と「お詣り」の二通りの書き方があります。
字は違うけど、何が違うのか良くわからないという方もいるのではないでしょうか?
この2つは、厳密に言うと、それぞれ違った意味があり、使い分けがあります。
そこで、今回はブログのタイトルにもなっている「おまいり」の漢字の違いについてお届けします。
使い分けについても説明しますよ!
目次
「お参り」と「お詣り」の違いと意味
「お参り」と「お詣り」の違いを分かりやすく簡単に言うと、
仏様に向かってお祈りをするか、神様に向かってお祈りをするかです。
お参り ⇒ 仏様に手を合わせたり、ご先祖様のお墓に行く
お詣り ⇒ 神社で神様にお祈りする
お参りの意味
お参りは、仏様に念ずることを言います。
お寺や仏壇、お墓に対して使う言葉になります。
もともと「参る」は、行くを意味し、参上するなどからわかる通り、目上の人への敬意を込めた言葉です。
ご先祖様に敬意を込めてお参りし、手を合わせると言うことですね。
お詣りの意味
お詣りは、神様にお祈りをすることをさします。
神社や神棚に対して使う言葉になります。
「詣」とは
『音』ケイ 『訓』もうでる いたる
1.高いところ・境地に行きつく
2.社寺にもうでる
引用元:小学館 大辞泉
「詣」の意味を調べると、訓では「いたる」と読み、高いところや境地に行きつくとなっています。
高い域の神様に祈ることを指していることが分かります。
「お参り」と「お詣り」の使い分け
では、「お参り」と「お詣り」の使い分けはどのようにしたらいいのか、具体的に例をみていきましょう。
「お参り」が仏様、「お詣り」が神様ということは、お寺に行くときは「お参り」で、神社に行くときは「お詣り」ということになります。
そのため以下のような使い方をするのが一般的です。
神社にお詣りに行く
お寺にお参りに行く
お墓お参りにいく
ここで、一般的にと言ったのには、2つの理由があります。
<1つ目の理由>
厳密に使い分けられているわけではないということです。
近年では「詣」という言葉が使われなくなってきたこともあり、お参りの方が多く使われています。
そもそも、辞書では「お詣り」という漢字で調べても記載がないことが多く、その代わりに「詣でる」で調べると記載されているケースがほとんどです。
<2つ目の理由>
そもそも昔は『神仏混合』といって、「神道(神様)と仏教(仏様)」の区別は明確ではなかったということです。
明治元年に神仏分離令が発令され、今のように区別するようになりました。
では、次にすこし「神仏混合」と「神仏分離」について、解説します。
「神仏混合」と「神仏分離令」
もともと日本には、日本元来の信仰(神道)がありました。
そこに、インド発祥の仏教が6世紀ごろから中国~朝鮮半島から伝来し、神道と仏教がお互いに影響し合うようになりました。
そこで、日本本来の信仰を明らかにしようと、考えたのが「神仏分離」です。
神仏分離令によって、神社と寺院が分けられたことで「神社には日本古来の神様が祀られる」「寺院にはインド発祥の仏や仏教の神が祀られる」という住み分けができました。
しかし、それまで神仏は、区別さずにお互いに影響し合っていたわけですから、神社の中に寺院があったり、お寺の中に日本の神様が祀られたりしていました。
今でもお寺に行くと、境内に鳥居があったり、神社の様式が見られるところがありますね。
また地域によって、お宮詣りや初詣などに神社ではなく、お寺に行く地域もあります。これもそのころの名残です。
ですから、お宮詣りや初詣も神社、寺、どちらに行っても間違いではないということになります。
神仏分離令によって、神道(神様)と仏教(仏様)が、区別されるようにはなりましたが、結局近年では、「お参り」と「お詣り」の違いはほとんどなくなっています。使い分けはほとんどされていません。
先ほども少し触れましたが、辞書では「お詣り」と索引してもないことが多く、一方「お参り」と索引すると、寺社仏閣へ訪れることなっています。
また、「お詣りとは」でご紹介した「詣」の索引部分で、気づいた方もいるかもしれませんが、「2.社寺にもうでる」となっています。
そう、社だけでなく寺も含まれています。
つまり、厳密に言うとそれぞれ違う意味があり使い分けもありますが、違いは曖昧になっていて、どちらを使っても間違いにはならないということです。
まとめ
【一般的に】
お参り= 仏様ご先祖様が対象。お寺やお墓・仏壇で拝むこと
お詣り= 神様が対象。神社や神棚にお祈りすること
ただし、
厳密に使い分けられているわけではない
どちらの漢字を使っても、間違いとは言えない
近年では「お参り」の方が多く使われていて、使い分けはほとんどされなくなっている
いかかでしたでしょうか?
色んな歴史があって、それによって風習や言葉も変化していっているんですね。