「清水寺」「東大寺」「平等院」など、日本には有名なお寺がたくさんありますが…
あれ?よく見るとどれもお寺なのに「〇〇寺」と「〇〇院」って、呼び方が違いますよね。
実は、これには深い理由と歴史的な背景があるんです!
この記事では、「寺」と「院」の違いだけでなく、「お寺の名前の正式名称」や「山号・院号・寺号」など、知っていると寺社巡りがもっと楽しくなる豆知識をご紹介します。
そもそも、お寺の名前「寺」と「院」って何が違うの?

「寺院」といえば、どれも“お寺”のはずですが、どうして名前の呼び方が違うのでしょう?
結論から言うと…
👉 「寺」も「院」も、どちらも“お寺”であり、格差も違いもありません。
では、なぜ呼び方が異なるのかというと…
実は、お寺にはもっと長い正式名称があるんです。
お寺の正式名称は長い!?「山号・院号・寺号」でできている
わたしたちが日常的に呼んでいるお寺の名前は、実は“通称”です。
正式には「〇〇山 〇〇院 〇〇寺」という、三段構えの名称があるのです。
たとえば、東京・浅草で有名な「浅草寺」の正式名称は
▶ 金龍山 伝法院 浅草寺(きんりゅうざん でんぽういん せんそうじ)
長いですね!だからこそ、一部だけをとって呼ばれるのが一般的になったのです。
ただし、すべてのお寺に「山号・院号・寺号」があるわけではありません。
- 清水寺:音羽山 清水寺(山号+寺号)
- 東大寺:大本山 東大寺(山号なし)
- 平等院:朝日山 平等院(山号はあるが公式には未記載)
このように構成も寺院によって異なるのです。
「鳳凰堂」はお寺?建物の名前?
ちなみに、平等院の話が出たので豆知識。
10円玉に描かれている平等院の「鳳凰堂(ほうおうどう)」は平等院の本堂ではなく、阿弥陀如来を祀る御堂のひとつ。
「翼を広げた鳥」のようなシルエットと、屋根の上にある一対の鳳凰像がその名の由来です。
平等院の中にある“象徴的な建物”が鳳凰堂なのです。
藤の花が満開の時期の平等院は見ごたえがありますよ!藤の花が満開のころの平等院の様子はこちらの記事でご紹介しています!
山号・院号・寺号の意味とは?
お寺の名前のそれぞれのパーツの意味を知っておくと、お寺の名前に込められた背景が見えてきます。
山号(さんごう)
仏教が、インドから中国に伝わったときに、中国では寺院が山中に建てられることが多く、「山の名前」を付ける文化がありました。
日本では、山ではなく街に建てられた寺院もあったことから、山に限らず、地名や由緒ある言葉を山号に用いるようになりました。
日本国中に、同じ名前(で呼ばれる)のお寺はたくさんありますが、山号がついていることで、どこの〇〇寺のことだなとわかります。
▶ 山号はお寺の“所在地”や“由緒”を表すシンボルのようなものと言えます。
院号(いんごう)
「院」は、もともと囲まれた建物を意味する言葉で、寺の一部や、住職や高僧の居住空間を表すこともあります。
▶ 院号は、寺の内部構成や格式を反映している場合が多いのです。
また、天皇家や摂関家とゆかりの深いお寺では、あえて「院号」で呼ばれることもあります。
寺号(じごう)
昔の中国では、官庁を表す言葉でしたが、インドから仏教が伝わった際に僧侶をこの官庁に宿泊させたことから、僧侶がいる場所を寺と呼ぶようになりました。
現在は、仏様をお祀りしているところを「寺」と解釈することが多いです。
▶ 寺号は、お寺そのものの存在を示す基本的な名称となりました。
ちなみに、神社も「神宮」「大社」「宮」などいろんな呼ばれ方がありますよね?その違いも気になる方はこちらの記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
どうして「院」で呼ばれるお寺があるの?
お寺の名前は実は「〇〇山〇〇院〇〇寺」と、とっても長いことが分かりましたね。
そう、ここで「〇〇院〇〇寺」となっているのを見てわかる通り、わたしたちは普段、お寺の名前の一部を読んでいるのです。
理由は、名前が長すぎて呼びづらく、一部を取って通称名にしたと言われています。
ですので、「寺」と「院」には違いはありません。寺と院で格差もありませんし、中身も同じお寺です。あえて、違いをいうとすると、お寺の正式名称のどの部分を呼び名として使うかの違いということになります。
お寺の門に注目!正式名称が刻まれていることも
お寺を訪れた際、山門(さんもん)に注目してみてください。
そこには正式な「山号」や「寺号」が掲げられていることがあります。
「ただの寺名」と思っていた名前が、実は深い歴史や格式のあるフルネームの一部だった…という発見があるかもしれませんよ。
まとめ|「寺」と「院」の違いを知れば、寺社巡りがもっと楽しくなる!
今回は、「寺」「院」についてお届けしました。
最後にポイントをおさらいしましょう。
「寺」と「院」はどちらもお寺。呼び方に格差はない
正式名称には「山号・院号・寺号」がある
通称名は、覚えやすさや由緒によって変わってくる
「院」で呼ばれるのは、そのお寺の特徴や格式を示す場合がある
訪れたときには山門の名称をチェックするのがおすすめ!
お寺の名前の裏にある意味を知ることで、次に訪れるお寺の見方が変わってくるかもしれませんね。