今回は、神社の社号のお話です。
私たちは、神様の祀られている施設のことを一般に「神社」と呼びます。
あまり意識したことはないかもしれませんが、その神社の名前には、他にも「神宮」「大社」「宮」などがあるのをご存知でしょうか?
これらは社号と言います。
「神社」「神宮」「大社」「宮」の違いについて解説していきます。
目次
「神社」「神宮」「大社」「宮」をご紹介
普段「神社」と呼んでいるので、呼び方が色々あると言われても、あまりピンと来ないかもしれません。
そこで、それぞれの社号で呼ばれている、代表的な社をあげてみます。
神社
神社と呼ばれる社は、かなりの数あります。
中でも、有名な3社をあげていきます。
八坂神社(やさかじんじゃ)京都府京都市東山区祇園町北側625
「祇園(ぎおん)さん」とも呼ばれ、縁結びのご利益があり多くの人が参拝に訪れます。
● 嚴島神社(いつくしまじんじゃ)広島県廿日市市宮島町1−1
瀬戸内海に建つ大鳥居は、宮島のシンボルも言えます。
航海安全や交通安全、家内安全、試験合格、商売繁盛、縁結びなど、様々なご利益があるとされています。
● 下鴨神社(しもがもじんじゃ):京都府京都市左京区下鴨泉川町59
「下鴨神社」は、通称名で、正式名称は「賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)」といいます。
上賀茂神社と並び日本最古の神社の一つで、世界平和、五穀豊穣、殖産興業のほか、縁結び、安産などのご利益があります。
神宮
神宮は、全国に24社あります。
以下に一覧にしました。(()内、祭神記載)
- 伊勢神宮(天照大神、豊受大神)
- 伊弉諾神宮(伊弉諾尊)
- 霧島神宮(瓊瓊杵尊)
- 鹿児島神宮(穂々出見尊)
- 鵜戸神宮(鸕鶿葺不合尊)
- 英彦山神宮(天忍穂耳尊)
- 橿原神宮(神武天皇)
- 宮崎神宮(神武天皇)
- 氣比神宮(伊奢沙別命)
- 宇佐神宮(応神天皇)
- 近江神宮(天智天皇)
- 白峯神宮(崇徳天皇)
- 平安神宮(桓武天皇)
- 赤間神宮(安徳天皇)
- 水無瀬神宮(後鳥羽天皇)
- 吉野神宮(後醍醐天皇)
- 北海道神宮(明治天皇)
- 明治神宮(明治天皇)
- 熱田神宮(天叢雲剣)
- 石上神宮(布都御魂)
- 國懸神宮(日矛鏡)
- 日前神宮(日像鏡)
- 鹿島神宮(武甕槌神)
- 香取神宮(経津主神)
大社
大社は、全国に24社あります。
以下に一覧にしました。(()内、祭神記載)
- 出雲大社(大国主大神)
- 熊野大社(熊野大神櫛御気野命)
- 三嶋大社(大山祇命)
- 富士山本宮浅間大社(木花之佐久夜毘売命)
- 諏訪大社(建御名方神)
- 気多大社(大己貴命)
- 南宮大社(金山彦命)
- 多度大社(天津彦根命)
- 多賀大社(伊邪那岐命)
- 建部大社(日本武尊)
- 日吉大社(大己貴神)
- 春日大社(春日神)
- 龍田大社(天御柱命)
- 廣瀬大社(若宇加能売命)
- 伏見稲荷大社(稲荷大神)
- 松尾大社(大山咋神)
- 梅宮大社(酒解神)
- 住吉大社(底筒男命)
- 大鳥大社(日本武尊)
- 熊野本宮大社(家都美御子大神)
- 熊野速玉大社(熊野速玉大神)
- 熊野那智大社(熊野夫須美大神)
- 宗像大社(田心姫神)
- 高良大社(高良玉垂命)
宮
神社と呼ばれる社の中から2社をあげていきます。
● 鎌倉宮 神奈川県鎌倉市二階堂154
秋には紅葉の美しいことで知られる神社です。
後醍醐天皇の皇子・護良親王を祀る神社です。
境内の奥には、足利尊氏に捕らえられた親王が幽閉されていた土牢が残っています。
● 城南宮 京都府京都市伏見区中島鳥羽離宮町7
京都の花の名所として有名な神社です。
平安遷都の際に国の守護神として、都の南に創建された歴史ある神社です。
こうして各呼び名の神社を並べてみると、
「なるほど、確かに呼び方違うわ!」って感じですよね。
では、この呼び方の違いは一体何なのでしょうか?
次で、詳しく見ていきましょう。
神社「社号」の違いって何?
神社の社号は、その神社が祀っている「祭神」によって決まります。
まずは、社号の歴史について見ていきましょう。
社号の歴史
第2次世界大戦前までは、国によって神社は格付けされていました。
それ以前の7世紀後半にも神社の格付けが行われていたとされていています。
10世紀後半の延喜式の『神名帳』には、神社の格付けが記載されています。この『神名帳』に神宮として載っているのは、「伊勢神宮」「鹿島神宮」「香取神宮」の3社で、大社として載っているのは、「杵築大社(現在の出雲大社)」のみでした。
その後、時代と共に神社はどんどんと増えていき、各地に神宮や宮を名乗る神社が増えていきました。
現在では、神社は規模の大小はありますが、神社の格付けに差は無く、平等とされていています。
「神社」「神宮」「大社」「宮」の違い
一部の例外はありますが、定められた基準によって名付けられています。
その基準を詳しく見ていきましょう。
神社の基準
神社は、日本固有の民俗信仰である神道に基づき、神を祀った施設の『総称』として使われます。
社号としての神社は、とくに基準はありません。
最も一般的な社号で、全国の多くの神社が神社を名乗っています。
神宮の基準
神宮は、皇室の祖神や歴代天皇など、皇室とゆかりの深い神を祀っている神社です。
宮の基準
宮は、皇室の神霊、皇子、皇孫を祀っている神社です。
応神天皇の神霊を祀っている「宇佐八幡宮」などが、それにあたります。
社号の「宮」には、関係なく宮を名乗る神社も多くあります。
菅原道真公を祀っている「太宰府天満宮」や、徳川家康公を祀っている「日光東照宮」などが、それにあたります。
大社の基準
稲荷神社の様に同じ神を祭神とした神社名が同じグループの総本社を大社と言います。
お寺でいう総本山と似ています。
社号の歴史のところでも触れましたが、昔は、大社と呼ばれていたのは「出雲大社」のみでした。
現在は増えて、さきほど一覧にしたとおり、全国に24社あります。
「神社」「神宮」「大社」「宮」の違い まとめ
神社の社号「神社」「神宮」「大社」「宮」にいてお届けしました。
●神社の社号は、その神社が祀っている「祭神」によって決まる
<呼び方の基準>
神社:基準は特になし。最も一般的な社号で、神社の総称でもある
神宮:皇室の祖神や歴代天皇など、皇室とゆかりの深い神を祭神としている
宮 :嫡男系の皇孫を祭神としている。例外が多い
大社:稲荷神社の様に特定の神を祭神とするグループの総本社