神社

世界遺産 姫路城に残る伝説“播州皿屋敷”由縁の「お菊神社」「十二所神社」参拝

兵庫県姫路市にある世界遺産「姫路城」には、日本国内だけではなく、世界各国から多くの方が訪れる観光スポットとなっています。

そんな姫路城には、日本三大怪談の1つにも数えられる“播州皿屋敷”の伝説が残っています。

この有名な怪談“播州皿屋敷”の主人公「お菊さん」が、投げ込まれたとされる姫路城内にある「井戸」は、観光スポットにもなっていますが、姫路城から歩いて15分ほどの場所に「お菊神社」があるのをご存じでしょうか?

今回は、姫路城に残る日本三大怪談の1つにも数えられる“播州皿屋敷”の伝説の主人公である「お菊さん」を祀る「お菊神社」をご紹介します。

世界遺産“姫路城”「お菊井戸」

世界遺産「姫路城」、姫路駅出ると、まっすぐと伸びる道のどんつきには、その風格のある姿がドーンと見えていて、姫路のシンボルでもあるお城です。

姫路城を訪れると、天守を見上げる広場に大きな井戸があります。

この井戸には、「お菊井」と刻まれた碑と「伝説 播州皿屋敷」の案内があります。

これが、播州皿屋敷の中で、主人公のお菊が身を投げたと伝わる井戸「お菊井」です。

井戸は、直径3・5メートルくらいあり、かなりの深さで、怖いもの見たさも手伝って、のぞき込む人がたくさんいますよ。

この井戸、姫路城が一般公開されるようになったころから「お菊井」とよばれるようになったようなのですが、もとは「釣瓶取(つるべとり)井戸」と呼ばれていました。


播州皿屋敷(ばんしゅうさらやしき)とは?

姫路に伝わる「播州皿屋敷」の物語は、いつごろ生まれたのかは定かではありません。

日本三大怪談の1つとして語り継がれてきた「播州皿屋敷」は、いくつかパターンはありますが、どのようなお話かと言うと、

室町時代に姫路城執権「青山鉄山(てつざん)」が、城を乗っ取ろうと、城主の毒殺しようと企てていました。

それを察した城主の忠臣「衣笠元信(きぬがさもとのぶ)」が、お菊を鉄山の屋敷に奉公させて企みを探らせ、お菊は鉄山の息子「小五郎」から父の陰謀を聞き出しました。

この知らせを聞いて元信は、鉄山の陰謀を阻止することができました。

その後もお菊は、鉄山の屋敷で動向を探り続けていましたが、鉄山の同士「町坪弾四朗(ちょうのつぼだんしろう)」に気づかれてしまいます。

そして、以前からお菊に好意を持っていた弾四朗は「黙っている代わりに自分のものになれ」とお菊に言い寄りました。

しかし、お菊はそれを聞き入れず、弾四朗に折檻され、お菊が預かる家宝の十枚の皿うち一枚を隠してその罪をお菊に負わせ、ついにお菊を切り殺し庭の井戸に投げ込みました。

それからというもの夜ごと井戸の底からは「一枚、二枚、三枚、四枚、五枚、六枚、七枚、八枚、九枚・・・・・」と皿を数える悲しげな女のか細い声が聞こえるようになりました。

お菊さん、美しい人だったのでしょうね。

お菊さんを祀る“お菊神社”

お菊の霊がまつられているお菊神社は、十二所神社(じゅうにしょじんじゃ)境内にあります。

大きな通り(十二所前線)に面した側に「お菊神社」の社号標と鳥居がたっています。

入ってすぐ右に社殿が建っています。

神社の詳しい由来は、不明で、いつごろからこの場所にお菊神社があったのかは、よくわからないのですが、寛保元(1741)年から上演されていた浄瑠璃『播州皿屋敷』では、お菊が「十二所神社」境内に祀られているとされていることから、このころには、お菊神社が存在していたのではないか推測されています。

境内の案内板によると、“皿”にちなんで、飲食店関係の方々が、皿に願いを書いて奉納すると霊験があると言われているそうです。

戦災で、社殿や社務所など一切が焼け、現在の建物は戦後に再建されています。

社殿の向かい側には、「烈女お菊」と書かれた石が置かれています。

烈女とは

節操をかたく守る女子。また、信念を貫きとおす激しい気性の女子。

出典元:小学館/デジタル大辞泉

激しさは伝わりますが、ピンと来なかったので調べてみたのですが、烈女、確かに、弾四朗に「黙っている代わりに自分のものになれ」と脅されても、頑なに受け入れなかったお菊さんを表現するにぴったりの言葉ですね。

十二所神社(じゅうにしょじんじゃ)

十二所神社のご祭神は少彦名神、医薬の神様で、神徳は病気平癒などにご利益があるとされています。

社伝では、928年(延長6年)疫病の流行で人々が大変苦しんでいたところ、一夜にして12本の蓬が生え、そこに少彦名神が現れ、この蓬で疫病を治癒するべしとお告げがあり、お告げ通りにしたところ、人々の病は癒えたことから、祀られるようになったということです。

また、姫路城の裏鬼門に当たることから、藩政時代に元御旅所の現在地に遷座されたという説もあります。

お菊神社・十二所神社の御朱印

十二所神社の社務所は、十二所神社社殿の斜め向かい辺りにあり、社務所兼住居となっているようでした。

通常解放されておらず、御朱印をいただくには、インターフォンを押して出てきていただくようになっています。

この日は、御朱印帳を持っていなかったので、御朱印は頂かなかったのですが、御朱印を頂こうとしている参拝者の方がいて、インターフォンを押してもなかなか応答がなく、結構待っていらっしゃいました。

御朱印を頂く方は、先にお声をかけたり、ご在宅かどうか電話で確かめた方が良いかもしれません。

【お菊神社・十二所神社】アクセス基本情報


【お菊神社・十二所神社】基本情報

住所:兵庫県姫路市十二所前町122
電話:079-222-4586(十二所神社)
参考webサイト:https://www.hyogo-jinjacho.com/data/6316071.html
アクセス:姫路駅より徒歩約8分

お菊神社は、姫路駅と姫路城の間にあります。

姫路城へは、姫路駅から歩いてアクセスする方も多く、この日は姫路城を訪れた帰り道にお菊神社に参拝したのですが、私たち以外にも同じ経路でお菊神社に立ち寄っている方がいらっしゃいました。

姫路城を訪れたら、せっかくなので、お菊神社に参拝してみてはいかがでしょうか?

Pickup

1

2024(令和6)年は、十二支の五番目の辰年です。 ちなみに、干支の中で「辰」だけが架空の動物なんですよ。 そんな「辰(龍)」は、中国では権力の象徴で縁起のよい生き物とされて、日本でも龍にまつわる神社 ...

2

今では全国各地で行われている「七福神巡礼」ですが、実は京都が発祥の地と言われていて、古くから⾏われていました。 特に新春に巡拝すると「七難即滅、七福即⽣極まりなし」といわれ、功徳が⼤きいとされています ...

3

正月飾りやお守り、お札などを燃やす火祭り行事「どんど焼き」 今回は、地域によっては「とんど」「左義長」とも呼ばれる「どんど焼き」の意味、地域による呼び方や内容の違いなど「どんど焼き」にまつわる豆知識を ...

4

京都には、パワースポットがたくさんあります。 そんな中から今回は、縁結び&恋愛成就パワースポットと言われる神社を8社厳選してご紹介します。 ご紹介する神社はどれも、京都を堪能できる場所にありますよ! ...

5

“龍”といえば、水を司る神さまとして崇められてきた歴史があるため、龍神様を祀る神社を思い浮かべる方も多いと思います。 また、仏教では龍が守り神と言われ、お寺では古くから襖や天井に“龍”が描かれ大切に守 ...

6

金色に輝き住宅街でかなり目立つ鳥居をくぐって参拝する「御金(みかね)神社」 京都で最強とも言われる金運パワースポットとして有名な神社です。 金運UPを願う参拝者が多く、境内にはお金にまつわる願いが書か ...

7

京都のお土産の定番のひとつ「阿闍梨餅(あじゃりもち)」、 今では、全国の百貨店やお取り寄せもできる人気の和菓子ですが、阿闍梨餅は和菓子の名前で、お店の名前ではないのをご存知ですか? 今回は、京都の「満 ...

8

京都の有名観光スポットの一つ「八坂神社」京都の祇園を守り続けてきた神社です。 八坂神社は、街のシンボル的存在でもあり「祇園さん」という呼ばれ親しまれています。 とくに縁結びと美容にご利益があると言われ ...

9

神奈川県に、全国で唯一八方除(はっぽうよけ)の御神徳があると言われている神社があります。 初詣には、三が日で約50万人が訪れる寒川神社は、参拝者が後を絶たない人気の神社です。 今回は、寒川神社の見どこ ...

10

東京都港区赤坂に鎮座する「赤坂氷川神社」は、東京十社の1つで、約一千年の歴史を持つ神社です。 厄除けのご利益や特に「縁結び効果絶大!」と、良縁を祈願する女子の聖地にもなっています。 今回は、そんな赤坂 ...

11

福岡市博多区の「櫛田(くしだ)神社」、お櫛田さんと呼ばれ親しまれている博多の総鎮守です。 7月の博多祇園山笠や10月の博多おくんちなど、多くのお祭りで賑わう神社です。 そんな櫛田神社の節分大祭は、巨大 ...

12

神戸の繁華街、三宮駅からすぐの場所に鎮座する生田神社。 縁結びのパワースポットとしても有名な生田神社を囲むように「一宮」から「八宮」までの数字がついた神社が鎮座しているのをご存じでしょうか? この一宮 ...

13

お正月三が日が過ぎ1月7日に食べる「七草粥」は、平安時代にはあったと言われています。 その風習は今も受け継がれ、スーパーに並んだ春の七草を買い求める姿も多く見かけます。 そんな七草粥ですが、京都伏見に ...

14

私が御朱印をいただきだした頃は、御朱印はそんなに世に知れ渡っている存在ではありませんでした。 今は、どこに行っても必ず自分たち以外にも、御朱印をいただく参拝者の方に出会います。 すっごく若い方や外国か ...

15

お寺や神社、お墓へ行き拝んだりお祈りすることを「おまいり」といいますね。 この「おまいり」を漢字で書くと、「お参り」と「お詣り」の二通りの書き方があります。 字は違うけど、何が違うのか良くわからないと ...

16

弘法大師の霊場を辿る四国八十八か所のお遍路は、日本の中でも最も有名な巡礼となっています。 今回は、全行程1,450キロメートルある「四国八十八ヶ所霊場巡拝」のまわり方、順番について、解説していきます。 ...

17

全国に約900社ある愛宕神社(あたごじんじゃ) その総本社は、京都の愛宕山の山頂に鎮座しています。 標高924mの山頂に鎮座しているため、いつか参拝したいと思いつつ、なかなか訪れることができなかった京 ...

18

弘法大師の霊場を辿る四国八十八か所のお遍路は、日本の中でも最も有名な巡礼となっています。 今回は、全行程1,450キロメートルある「四国八十八ヶ所霊場巡拝」のまわり方、順番について、解説していきます。 ...

19

国内外を問わず、多くの人に人気の京都は、名所も多くて訪れたら、あちこち行きたくてどこに行こうか迷いますよね。 点在する観光スポットを巡る時に、バスや電車を利用する方も多いのですが、もうひとつ便利な交通 ...

20

国内外を問わず、多くの人に人気の京都は、名所も多くて何度も訪れたくなる場所です。 市内には、観光スポットが点在していて、バスや電車を利用して各地を巡る観光客の方も多いのです。 京都の観光名所を巡るなら ...

-神社